冒頭でも述べたとおり、排水管のつまりがそれほど酷くない場合は、市販のワイヤーブラシを使ってご自身でつまりを改善できます。
そもそもワイヤーブラシとは、ある程度の長さがあるワイヤーの先端に金属製やプラスチック製のブラシが付いている排水管用の掃除道具です。ワイヤーブラシは下記のようにさまざまな呼び方があります。
- 排水用ワイヤーブラシ
- ワイヤードレンクリーナー(ドレン=排水)
- ワイヤードレンブラシ
- ワイヤーパイプクリーナー など
排水管がつまって水が流れなくなると焦ってしまい、すぐに水まわりの専門業者に連絡する人も多いでしょう。もちろん間違いではありませんし、知識や経験が豊富なプロに依頼すれば一発でつまりを解消できる可能性が高いです。
とはいえ専門業者に依頼するのもそれなりの費用がかかります。多少のつまりなら、まずは市販のワイヤーブラシなどを使ってご自身で解決してみてください。
ただし、誤って固形物を流してつまってしまったときには、ワイヤーブラシは使わないようにしましょう。無理やりブラシを押し込むと、固形物をさらに奥に押しやってしまう可能性があるからです。つまりの原因が固形物だとわかっている場合には、速やかに専門業者に相談しましょう。
ワイヤーブラシの種類は大きく分けて「家庭用ワイヤーブラシ」と「業務用ワイヤーブラシ」の2種類あります。
ワイヤーブラシの種類 |
特徴 |
家庭用ワイヤーブラシ |
長さ:平均1〜10m
価格:平均2,000〜3,000円
手動が一般的
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業務用ワイヤーブラシ |
長さ:平均15〜30m
価格:平均1万円〜30万円以上
手動と電動がある
家庭用ワイヤーブラシよりも威力や強度がある
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家庭用ワイヤーブラシは素人でも扱いやすくつくられている製品が多いです。インターネットやホームセンターなどで手軽に入手でき、価格もそれほど高くありません。
一方、専門業者が使用する業務用ワイヤーブラシは、別名「トーラー」とも呼ばれています。家庭用ワイヤーブラシと比較しても威力や強度があり、頑固なつまりを解消させるのに適しています。
業務用ワイヤーブラシは価格が幅広く、電動で威力のある製品だと30万円以上と値が張るケースもあります。一般家庭用として保管しておくには大きく邪魔になってしまうため、使用頻度が低い場合にはおすすめできません。
素人が自分自身で排水管のつまりを改善するために購入するのなら、家庭用ワイヤーブラシが適しています。
家庭用ワイヤーブラシと一口に言っても、さまざまなメーカーから多岐にわたる製品が販売されています。「安いからこれでいいや」などと適当に選んでしまうと、長さが足りなかったり太すぎて排水管に入らなかったりと失敗してしまうため注意が必要です。
ワイヤーブラシを選ぶときは、下記のポイントに注目して探してみましょう。
- 排水管に入る太さか
- 長さは十分に足りるか
- ワイヤーの強度は十分か
まず排水管に入る太さのワイヤーブラシなのかどうかが重要です。加えて十分に足りる長さなのかについてもチェックしておきましょう。
たとえば1メートル未満のワイヤーブラシを購入した場合は、排水管の手前のほうにしか届きません。手前のほうにつまりの原因がある場合にはよいですが、どこにつまっているのかがわからない場合には長めのワイヤーブラシを選んでおくと安心です。
市販のワイヤーブラシのなかには強度が低い製品も珍しくありません。多くの排水管は入り口からまっすぐ下に進んでいくと、途中でS字やP字のようなカーブがあります。強度が低いワイヤーブラシを差し込んでいると、カーブにさしかかったときにポキッと折れてしまうケースもあるのです。
そうなれば折れてしまった先端は回収できずに、さらなる水道トラブルを引き起こすことも考えられます。太さ・長さ・強度に注目しながら市販のワイヤーブラシを選んでみてください。
ワイヤーブラシは下記のような場所で購入できます。
- 100円均一ショップ(セリア、ダイソーなど)
- ホームセンター(コーナン、カインズ、コメリなど)
- インターネット(ECサイト、ホームセンターのネットショップなど)
まず低価格で購入したい場合には、セリアやダイソーといった100均のワイヤーブラシを試してみましょう。
他にはコーナンやカインズ、コメリといったホームセンターでもワイヤーブラシを購入できます。少し時間に余裕がある場合には、ECサイトやホームセンターのネットショップなどを活用してインターネットで入手してもよいでしょう。
インターネットなら一度にたくさんの製品を比較検討できるほか、自宅の排水管のサイズに合うかを細かく確認しながら購入できます。
ただし、製品の取り扱いがあるかどうかは各店舗によって異なります。100均やホームセンターなどに足を運ぶ際には、事前に電話で取り扱いの有無を確認しておくと効率的です。
ここからはワイヤーブラシの正しい使い方について解説します。一般的に下記のような手順でワイヤーブラシを使っていきましょう。
- 1.壁や鏡、床などに捨ててもよい新聞紙やボロ布を敷いて養生する
- 2.製品の説明に従ってワイヤーブラシを組み立てる
- 3.ワイヤーブラシを排水管に差し込み、行き止まるまでゆっくり進む
- 4.ワイヤーブラシが進まなくなったら、上下に動かしたり回転させたりしながら汚れを剥がしていく
- 5.汚れがある程度取れて貫通したら、ワイヤーブラシを回収する
- 6.ゆっくり水を流してつまりが解消されたかどうかを確かめる
自宅でワイヤーブラシを使うときは、必ず壁や鏡、床といった周辺を新聞紙やボロ布で養生しましょう。ワイヤーブラシを使用している最中に、ブラシに付いた汚れが飛び跳ねる可能性があるためです。
一般的な家庭の排水管は、ポリ塩化ビニールでつくられた「塩ビ管」を使用しているケースが多い傾向にありますが、ビニール素材の「蛇腹ホース」が使われていることもあります。
蛇腹ホースだった場合には、ワイヤーブラシの使用はおすすめできません。蛇腹ホースの耐久性はそれほど高くないため、ワイヤーブラシの衝撃によって穴が空いてしまう可能性があるからです。
ワイヤーブラシを使用する前には、必ず排水管の素材についてもチェックしておきましょう。
冒頭でも述べたとおり、つまりの程度がひどい場合や「誤ってなにかを流してしまった」といった固形物によるつまりだった場合は、ワイヤーブラシを使っても解決できないケースがあります。その場合には専門業者に相談しましょう。
家庭用ワイヤーブラシは業務用と比較すると強度も弱く、長さも短いことから限界があります。無理やりご自身でワイヤーブラシを使えば排水管に穴を開けたり、さらにつまらせてしまったりと問題が大きくなりかねません。
知識や経験が豊富なプロに任せればあっという間に解決できる可能性が高いため、ご自身でつまり解消の作業をするのが不安な場合やつまりがひどいときには、必ず専門業者に連絡してください。
手軽に購入できて、保管しておくスペースも取らない便利な家庭用ワイヤーブラシ。多少の汚れなら、ワイヤーブラシを使ってご自身で排水管のつまりを解消できます。
ワイヤーブラシを選ぶときには、太さ・長さ・強度に注目してご自宅の排水管に適した製品を選んでください。
ただし頑固なつまりや固形物がつまっている場合には、ワイヤーブラシを使わずに専門業者に相談してください。無理やりワイヤーブラシを差し込むと、排水管に穴が空いたりワイヤーブラシが途中で折れてしまったりと、別のトラブルが発生する可能性があるため注意しましょう。